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© 三崎港えいあん丸 All rights reserved.

契約

「で?、つまりはいくら必要なんだい?」
え?、あ、何だろう、少しぼーっとしていた、ええと、俺はいったいなんでこの人と話をしているんだろう?、
陽気な音楽や、人々の歓声が頭に響いて、きちんとした思考が出来ないみたいだ
この人誰だっけ、いつからこの人と話をしていたんだっけ、テーブルの上のコーヒーは半分飲みかけで、すでに冷めている感じだし、カップの縁は乾いたコーヒーで汚れてる、長い時間、話をしていたような気がするのだけど、なぜだろう思い出せない、だいたい、この人誰だろう?
相手の人はまわりの親子連れやカップルの話し声にかき消されて自分の言った事が聞こえなかったと勘違いしたらしく、もう一度、今度は少しはっきりした口調で言い返した、
「だから、お金、いくらあれば何とかなるの?、全部でさぁ」
「ええっと…」
俺は頭の中で計算をするようなフリをして、もう一度相手の人が誰だったかを考えていた、親しい間柄のような気もするし、とても親身になってくれているようにも思える、なのに、この人が誰なのか、なぜ今俺と話しているのか、まったく思い当たらなかった、
「大体でいいんだよ、足りなければ話にならないだろう?」
あまり長い事黙っているわけにもいかなかった、とっさに頭に浮かんだのは来週早々には用意しなければならない取引先への支払金の事だった、
俺は小さな町工場を経営していたが、もう何年も自転車操業が続いていた、それも日に日に経営は苦しくなるばかりで、来週の支払いが出来なければ工場を差し押さえられるかもしれないところまで逼迫していたのだ、その金額が….
「7000ドルくらいかな…..」思わずつぶやいてしまった
「オーケイ、じゃあ1万ドルをすぐに用意するよ、」相手の人はコーヒーをひとくちすすると続けて言った
「それだけじゃないだろう?、今抱えてる借金全部の話だよ、銀行も、取引先も、個人的な分も、全部クリアしないと意味がないだろう?、そういうの一切合切でいくらって話だよ」
俺の思考はすでにこの人が誰だったかという事への答えよりも、抱えている借金の総額の方に傾いていた、工場の機械の代金の残りや、滞っている支払いや、ずいぶん昔に何かを買った時の支払いが出来なかった時に借り直した借金だとか、飲み屋のツケまで含めておおよそ18万ドルくらい、あきれられるかな…..と思いつつも、
「20万ドル…..弱かな….」おそるおそる口にすると、
「じゃあ、今月中に25万ドルを、支払いとかが一段落したあとに残りの25万ドルを差し上げるってことでいいかな?」
驚いている俺の顔を涼しい顔で見返して、
「だって、借金がなくなれば仕事がうまくいくとは限らないだろう?、きちんと軌道に乗るまでの運転資金やら生活費やら….じゃないと助けた事にはならないからねぇ」
差し出された右手を両手で握り返して「ありがとうございます」と礼を言うと、
「じゃあ、これで契約成立ってことで…」
カップに残ったコーヒーを飲み干すとその人は背中を振り向いて「じゃあ行こうか」と、言った、その人の後に小さな少女が立っている事にそのとき気がついた、その人は少女の手を握って去っていった
いつの間にかポケットには100ドル紙幣の束がひとつ入っていた。
「おかえりなさい、早かったのね?」
家に帰ると妻が作りかけの編み物をほどいて毛糸玉に戻しているところだった
「ただいま、なんだよ?一生懸命作っていたのに、失敗したのかい?」
妻は自分自身を納得させるように
「なんだかね、急にイヤになっちゃったの、マフラーでも編んであげましょうか?」
うん…とかなんとか、生返事をする俺に向かって妻が
「ところで、どこ行ってたの?」
返事をする代わりにポケットの札束をテーブルに投げ出してみせた
「どうしたのこれ?」何か悪い事でもしたのかといぶかる妻を安心させるために
「知り合いに借りたんだよ、来週の支払いが出来ないとさぁ….」冷蔵庫の中から缶ビールを出しながら言い訳した
「へえ、まだ、アンタにお金貸してくれる人がいたんだ?」
幸い妻はそれ以上詮索しなかった、されても答え様がないのだが、
「いいから飯にしてくれよ」
俺は必要以上に不機嫌を装ってソファーに身を投げ、残りのビールを飲み干した。
翌週には口座に心当たりのない名義で25万ドルが振り込まれた、抱えていた借金を返済してもなお、幾ばくかのお金が残ったが、同時に自分のしている事が怖くなって来た、
どう考えても知らない人だった、まったく身に覚えのない金だった
いずれ、何かの犯罪がらみで警察がくるかもしれない、だが、その気配はなかった、
仕事が順調に回り始めた頃、さらに25万ドルが振り込まれて来た、
投資家や慈善団体、母校の先輩など、思いつく限りのアテを探したがあの人には会えななかった
もしかしたら悪魔じゃないだろうか?
一度そう思うとそうとしか考えられなくなった、
「契約成立」あの人はそう言った、契約?、悪魔と契約?
悪魔に魂を売った、ってよく聞く言葉だな
俺は金のために悪魔に魂を売ったのだろうか?、魂を売るとどうなるんだろう?
俺の生活は別段今までと変わるところはない、俺の工場の製品が誰かを不幸にしていたり、気がつかないうちに俺は誰かにひどい仕打ちをしていたりするのだろうか?
「なあ、俺さぁ、最近何か変わったかなぁ?」
突然の俺の問に妻は、
「別に?、ああ、前より良く働くようになった、お酒の量が減った、あとは….ご近所さんに愛想よくなった…かな?」
「俺、性格悪くなったり、利己的になったり、人に嫌われたりしてないか?」
「なに言ってるのよ、みんなに言われるのよ、リサはいい旦那さんと結婚して幸せだねぇって….ちょっと、働き過ぎじゃない、仕事を誰かに任せて旅行でも行かない?」
いや、そんな事してる暇はない、いつかあの人ともう一度会った時のために、51万ドルを貯めていつでも返せるようにしておかないといけない、
今更お金を返すなんてムシが良すぎるかもしれないが、悪魔との契約は破棄しなければならない
俺は毎週日曜日に教会へ通った、神様にすがるしかない、
お祈りのあと神父様に時間をいただいて今までの事を洗いざらい話した、
「助けてください、私の魂はどうなるのでしょうか?」
「悪魔に魂を売るというのは、もののたとえですよ、ひどいおこないをする人や、自分勝手なおこないをする人をさして悪魔に魂を売ったというたとえを使うだけです、本当に悪魔と人が魂を売ったり買ったりする事はありません、現にあなたは、日頃から良いおこないをされているではないですか、あなたの魂はここに、ちゃんとありますよ」
神父は私の胸に手を当ててやさしく諭してくれた、
「でも、いつか私が死んだ時にその魂が悪魔にとられてしまうのではないですか?」
「あなたが死んだ時は、あなたの魂は主のもとにいくのです、主があなたを守ってくださいますよ、心配はいりません」
少し気が晴れたが、疑問は残ったままだ、じゃあ、誰が、なぜ、あの金をくれたというのだ?
だいたいなんであの時、俺は一人で遊園地に行ったのだろうか?

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